投げ方がぎこちなくてボールが思うように投げれない、変なクセがついてしまって試合でも力を発揮できない…。そんな悩みを抱える子どもたちをこれまでたくさん見てきました。実際に、野球やソフトボールを始めたばかりの頃に正しいフォームを教わらず、クセがついてしまい、後から修正に苦労している子どもが多いように感じます。僕自身もプレーヤー時代に同じように苦しんだ経験があります。そこで自身の学生時代に経験し感じたこと、保護者やコーチとして選手を見て思ったこと、鍼灸整骨院の施術者としての考えを踏まえて、「なぜ野球を始めたばかりに投球フォームを教えるべきなのか」を述べていきたいと思います。
1. なぜ“最初”にフォームを教えるべきなのか?
野球やソフトボールを始めたばかりの時期こそ、正しい投げ方を身につける絶好のタイミングです。
この時期にしっかりしたフォームを教えておかないと、学年が上がっても自然ときれいなフォームになる可能性は低くなります。
一度クセがついてしまうと、それを直すのは想像以上に大変です。
実際に野球やソフトを始めたばかりの時に、フォームを教えられずにプレーをしていて、変な癖がついて、直すのが大変な子を何人も見てきました。
そういった癖が染み付いた子は、本人が相当意識して反復練習を行わないと、修正するのは大変だと思います。
逆に、最初にきれいなフォームを身につけておくと、たくさんのメリットがあります。
- 強いボールが投げられるようになる
- コントロールがよくなる
- 自分のプレーに自信がつく
- レギュラー争いにも勝ち残りやすくなる
- 肩や肘のケガを予防できる
- 守備でのプレー精度が上がり、野球・ソフトボールの楽しさをより感じられる
- 中学・高校と野球を続けようと思う選手が増える
- 上のレベル(中学・高校・大学など)でも通用しやすくなる
フォームは「技術」の土台です。フォームが整っていない状態で練習を重ねても、ケガをしやすくなったり、プレーの幅が広がりにくかったりします。
だからこそ、「始めた頃に教える」ことが何より大切です。
2. 投球フォームは打撃フォームとも共通する
投球フォームが良くなると、パッティングフォームにもつながりやすくなります。
体重移動や体の回転や体の使い方が共通している部分があるため、投球フォームがいい選手は打撃フォームもきれいな選手が多かった印象があります。
3. 実際の現場でのフォーム指導の現状
実際に小学生の練習試合や試合で他のチームのキャッチボールを見ていても、きれいな投げ方の子もいる一方で、ちゃんと教えられておらず、変な癖がついていたり、フォームが整っていない子も多く見られます。
中学・高校生の練習や試合も見に行ったことがありますが、やはりきれいな子もいれば、フォームが崩れている子もいます。
小学生のうちになるだけ投球フォームを固めておかないと、中学・高校と上のステージに上がっても自然とフォームが良くなるわけではない思いました。
4. 実際に投球フォームを教えた一例
実際に小学生に投球フォームを教えた経験から、運動能力のある子は最初から自然とフォームが良いこともありますが、全員にフォームの基本ポイントを教えることが大切です。
ざっくり右投げの場合の伝える例
・体重は右足から左足に最後は乗せる(体重移動)
・左手は相手に向けたらその後左胸に(体の開きを抑えて力が逃げるのを防ぐ)
・テイクバック時の右腕は肘から上げていくのではなく右手から上げる(肩のインピンジメントの予防)
・左足を着いたら体は投げる人に対して真横になる(トップでこの体勢を作れると体の回転が使える)
・体が真横の状態から体を回転させてボールを離す際はハエたたきを叩くような動きでボールを離すイメージで(肘抜きにならないように)
・ボールを離したら親指が地面側に来るようにして、最後は左ももの横に右腕が来るように腕を振り抜く
上記のようなそれぞれの動作をタイミングを合わせながら投げるように僕は子供やチームの選手に教えていました。癖が染みついている選手は、特に自身で意識して反復練習をしないと改善は難しいように感じました。
こういったフォームの知識や基準が始めはみんな知らないので、フォームの基準やポイントを教えておくことは必要に思います。
5. 個々のフォームの質がチーム力アップにつながる
一人ひとりがきれいな理にかなった綺麗なフォームで強くコントロールよく投げられると、チーム全体の守備力が上がり、連携プレイもスムーズになります。
結果としてチーム力が向上し、試合で勝ちやすくなります。
6. 正しいフォームは選手の将来にも影響する
しっかりしたフォームで投げられると、肘や肩の負担も少なくなりケガの予防や投手としての能力や野手としての守備力が上がり活躍しやすくなり選手は楽しくプレーできたり自信を持ってプレーできると思います。
こうした選手は中学・高校、さらにはその先まで野球を続ける可能性が高くなります。
これは野球人口の増加にもつながる一つの要因になると考えています。
7. フォームの不備が招くリスクと選手の未来
肩やフォームがしっかりしていないことで、肩や肘を怪我してしまう子が多くいます。
その結果、プレーがうまくいかずイップスになったり、野球自体をやめてしまう選手も少なくありません。
僕はそういった子が一人でも少なくなってほしいと強く願っています。
だからこそ、正しいフォームを小学生のうちにしっかり教えることが大切です。
8. フォームができていない状態での過剰な投球は怪我のリスクが高い
フォームが整っていない状態での多量の投球や遠投は、肩や肘に大きな負担をかけます。
壊れやすいフォームのまま何十球、何百球も投げ続けることは、ケガにつながるだけでなく、技術やプレーの向上にも繋がりません。
そのため、力のロスが少なく理にかなったきれいなフォームで投げることが必要です。
そして、そのフォームを教えるのは、野球を始めたばかりの時期が最も適しています。
まとめ:小学生のうちに正しいフォームを教えるべき理由
- ケガの予防になる
- 技術向上が早くなる
- 自信につながる
- チーム力が上がる
- 野球を長く続けるきっかけになる
「始めたばかりの小学生に正しいフォームを教えることは、彼らの技術向上やケガの防止だけでなく、野球を続ける喜びや可能性を広げる第一歩です。ぜひ未来の野球を支える指導の土台として大切にしていきましょう。」
こういった視点を、保護者や指導者の方たちが一人でも多く持ってくださることを願っています。
このブログでは、プレーヤーや指導者、保護者としての経験、そして施術者として子どもの体を見てきた視点をもとに、野球に関わる子どもたちの体のケアや成長に役立つ情報を発信しています。
子どもたちが楽しく、長く、野球を続けられるために。
コメント