朝練って本当に必要?施術者と保護者の目線から考える朝練の必要性

「朝も練習した方が上手になる」

「試合に勝つために朝練をする」

「グラウンドにいかにたくさん出て練習してナンボだ」

そんな声をよく聞きますし、実際に朝練を取り入れているチームもよく見ます。

目標に向かって朝練をする、がんばる、そのことをすべて否定はしません。

もちろん、時間をうまく使おうとする姿勢は素晴らしいと思います。

でも僕は、基本的に朝練には反対です。

今回は、施術者として体に関わってきた経験、そして保護者として子どもの成長を見守ってきた立場から、「朝練の必要性」についての考えをまとめてみました。

1. 朝は体も脳も“まだ起きていない”

まず一番の理由はこれです。

朝起きたばかりの体は、まだ完全に活動モードに入っていません。

筋肉、関節、神経、内臓、心臓など――

体がまだ寝ているような状態です。

この状態で急に走ったり、負荷の高いトレーニングをすれば、ケガや故障、体調不良のリスクが大きくなるのは当然のことです。

施術者として多くの体を見てきて、勉強してきた立場から言えば、朝は筋肉や関節が硬くなっていて、練習をするためのコンディションが整っていないです。

体が準備できていないうちに無理をすれば、パフォーマンスの向上どころかケガにつながり色々なマイナスになることもあります。

2. パフォーマンスが出ない練習に意味はあるか?

眠いまま体を動かしても、質の高い練習はできません。

集中力も落ちているし、筋肉、関節など体全体の動きも鈍いです。

それにプラスして選手はみんな起きてから水分を取って朝ご飯を果たして食べて来ているでしょうか?おそらく食べていない選手もいると思います。食事抜きでエネルギーや水分不足で練習をしても体は動きが悪いです。

そういったことを踏まえると「練習している気になる」だけで、内容の薄いトレーニングになることが少なくありません。

限られた時間を使うなら、しっかり睡眠を取り朝練は無しにして夕方の練習に集中して質や強度を高めた方が、よっぽど効果的だと僕は思っています。

3. 睡眠不足=ケガ・体の不調・メンタル不安定

朝練をすると、当然その分早く起きなければなりません。

でも、学校が終わって夕方チームで練習をして、もし個人的に夜も自主練している選手なら、睡眠時間はかなり削られてしまうはずです。

睡眠はただの休憩時間ではありません。

「運動」・「食事」・「睡眠」

この3つのバランスが大事です。これのバランスが崩れるとケガや回復の遅れ、体の成長にマイナスになったり、パフォーマンスの低下に繋がってしまいます。

この夜寝ている間に筋肉や関節の修復、疲労回復、自律神経の調整、心の安定――すべてに関わる大切な時間です。

施術者としての実感でも、睡眠不足の選手はケガの回復が遅い、疲労が抜けにくい、精神状態の不安定など、トータルのコンディションが整いにくい傾向にあります。

つまり、朝練のせいで睡眠が足りなくなるなら、回復力も集中力も下がってしまい、結果的にパフォーマンスの低下の危険性があるということです。

さらに、睡眠時間がしっかり取れることで精神的な安定にもつながると思います。

疲れが取れない・体が回復しないだけでなく、心の疲れも抜けず、メンタルに悪影響を及ぼすこともあるため、夜は夜更かしをせずに寝て朝は無理せず寝るべきです。

4. 学業とのバランス(保護者目線)

そして、保護者としての目線でも、やはり朝練には慎重になってほしいというのが正直な気持ちです。

親として自分の子供が朝きつそうにしていたり、体が痛い所がある時なんかは朝寝かせてあげたいなと思います。

それとなにより学生にとって、スポーツはもちろん大切ですが、勉強も同じくらい大切です。

将来スポーツ一本で生きていける人はごく一部で、多くの子が「学び」を通じて社会に出ていきます。もしもプロスポーツ選手になれたとしても現役で活躍できる年数よりも辞めた後の人生の方が長いです。その時のセカンドキャリアのことも考えると学業はおろそかにはできないと思います。

朝練で体が疲れていたり、睡眠が足りなかったりすれば、授業中の集中力も落ちてしまい、学業への影響も避けられません。

保護者としては、「ちゃんと睡眠をとって、元気な状態でしっかり学んでほしい」と願っています。

朝練を無理に入れるより、しっかりと睡眠をとり、体と心を整えて1日をスタートさせることの方が大事です。

5. 目的があるなら否定はしない。でも「なんとなく」はNG

もちろん、朝練で明確な目的のあり、その目的に沿った練習内容であるならば、朝練も1つの選択肢かもしれません。

しかし、「周りがやっているから」「なんとなく練習時間を増やしたいから」といった理由で続ける朝練には、体へのリスクの方が大きいのではと感じます。

だからこそ僕は、早朝は体の準備ができていない時間帯である以上、「朝練をやるならこんなトレーニングがおすすめ」などの妥協案はないと思っています。

**「朝練はやらないほうがいい」**というのが僕の一貫した考えです。

やればやるほど伸びるわけではなく、いかに“回復させて”“質の高い練習をする”かが成長には重要だと僕は思っています。

結論:朝は無理に動くより「整える時間」に

朝練を入れることで、疲労状態になったり、ケガをしたり、体調を崩したり、心が不安定になったり、勉強に影響が出たりしては元も子もありません。

朝は「練習の時間」ではなく、体と心を整える大切な時間として使ってほしいです。

しっかり寝て、元気な状態で一日をスタートさせる方が、結果的にスポーツにも勉強にも良い影響が出ると、僕は思っています。

最後に

朝練が本当に必要かどうかは、人それぞれですしチームの指導方針にもよるので、すべてを否定するつもりはありません。

ですが僕は、「不要」だと考えています。

施術者としての体を見てきた立場、保護者として子どもを見てきた立場から言わせてもらうと、「目的や意図のない朝練」は長い目で見てプラスにならないと感じます。

練習は、いかにケガのリスクを減らして、なるだけ良い体の状態を保ちながら、継続的に“質の高いトレーニング”を積むかが大切です。

そしてそれを実現するためには、「休むこと」や「回復すること」も立派な“努力の一部”です。

そうした視点を持つ指導者が、これからもっと増えていってほしいと願っています。

【筆者プロフィール】

ナイスバッチ

プレーヤー・保護者・指導経験を活かし、柔道整復師・鍼灸師の視点から野球の疑問や改善点を発信。未来の野球を考えるナイスバッチです。

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