ここ数年、高校野球を「9イニング制」から「7イニング制」に変えるべきかどうか、様々な議論が起こっています。
僕自身は、7イニング制に賛成の立場です。
今回は、その理由について自分の考えを整理してみようと思います。
1. 「命の危険すらある夏の酷暑」
近年の夏の異常気象は深刻で、試合中の熱中症のリスクは年々高まっています。
プレーする選手だけでなく、審判やスタンドの応援団、観客にとっても3時間前後の試合時間は大きな負担です。
いくらスパイクやアンダーシャツを白にしても、
根本的な熱中症対策にならない以上、試合時間の短縮が最も現実的で効果的な対策だと思います。
その点で、7イニング制はとても合理的な判断だと感じます。
2. 「国際ルールと足並みをそろえる時期」
実際、U-18など国際大会では7イニング制が主流になっています。
「高校野球は9イニングでなければならない」と固執してしまうのは、
今の時代の流れとずれているように感じます。
日本でも7イニングに移行していくことで、
選手の国際的な対応力も育つと思います。
3. 「肘や肩への負担軽減が期待できる」
7イニング制になると、ピッチャーの球数が自然と減り、
肘や肩などの酷使が軽減されると考えられます。
投手生命を守るためにも、
「1試合完投=100球以上」という現状から、
質の高い投球を短いイニングで出す力へとシフトしていくべき時期ではないでしょうか。
4. 「記録の比較問題は“時代の変化”として受け入れて積み上げていけばいい」
よく言われるのが、
「過去の9イニング時代の記録と比較できなくなる」
という懸念。
たしかに一理あります。
しかし、甲子園が始まってから100年以上経っている今、
時代や環境がここまで大きく変わっているなら、ルールや記録の体系も変わってもいいのでは思います。
過去の記録は過去の記録として大切にしながら、
これからは7イニングの新しい記録を積み重ねていけばいいのではないかと僕は思います。
5. 「野球人口の裾野を広げるチャンスにも」
7イニング制になると、出場機会が減ることから
私立の強豪校に人が集中するのではなく、
選手が中堅私立や公立高校などに分散される可能性があります。
これにより、高校野球の勢力図が分散もされ、
「どこが勝つかわからない=面白さ」が広がります。
さらに、
「うちの子もレギュラーで出場できるかもしれない」
と感じた親御さんや子どもたちが、野球を始めるきっかけにもなるかもしれません。
6. 「プロ志望選手の育成にも悪くない」
「プロは9イニングだから、7イニング制は選手の育成に悪影響では?」という声もあります。
たしかにその懸念は理解できますが、
高校時代に無理をして怪我をするより、可能性や伸びしろを残したまま次のステージに進むほうが将来的には有利だと思います。
7イニングの中で質を高め、
その後、大学や社会人・プロのステージでトレーニングを積めば、
十分プロ仕様の体に仕上げていくことができると思います。
7. 「戦術や面白さも、7イニングなりのドラマがある」
「7イニングだと試合の面白さが減る」「今までの野球と変わってしまう」と言われることもありますが、
むしろ、限られたイニングの中での攻防、采配、選手の集中力には新しい魅力があるはずです。
7イニングにしたらしたで、新しい高校野球の面白さやドラマがきっと生まれると思います。
8. 「観る側の視点でも『ちょうどいい長さ』になる」
正直、野球は好きでも「9イニングは長い」と感じている人は多いと思います。
学生の頃や、大人になってからも「野球が長いから見たくない」という声をチラホラ耳にしていました。
なので、もしかしたら7イニング制の方が観戦のハードルも下がるかもしれません。
高校野球の裾野を広げるという意味でも、
7イニング制には希望があるように感じます。
9. 「イニングが短いからこそ、集中力が育つ 」
7イニング制になると、試合の時間が短くなる分、
**「初回から1球1球に集中して臨まないと勝敗に大きく関わってしまう」**という緊張感が生まれます。
つまり、選手たちはより早い段階から高い集中力を求められます。
この「1球に対する集中力」は、野球というスポーツに限らず、
将来、社会に出て働く時にも非常に役立つ力だと僕は思っています。
たとえば仕事においても、
「限られた時間の中で最大のパフォーマンスを出す力」や
「ここ一番に集中して力を出す力」はとても重要です。
さらに、7イニングという制限の中で集中してプレーする経験を積んでおくことで、
大学・社会人・プロなど上のステージでも、高い意識や集中力を持って野球に向き合える選手に育つと思います。
◆ 結論:「7イニング制は、野球の未来を守る選択」
選手の体・命を守る。
未来ある才能を守る。
野球の面白さを守る。
野球人口を増やす。
ファンを増やす。
これらの視点から見たとき、7イニング制への移行は時代に合った自然な流れだと僕は感じています。
◆ 最後に――これはあくまで僕の一意見です
ここまで書いてきたことは、あくまで僕自身の考えや感じたことです。
高校野球の在り方については、長年の伝統や想いがあるテーマなので、
当然、賛成・反対、いろんな立場や考え方があると思っています。
決して「こうあるべきだ」と押しつけたいわけではありませんし、
反対の意見をすべて否定する気持ちもありません。
むしろ、こうして様々な意見が交わされることこそが、
野球というスポーツや、高校野球をより良くしていくために必要なことだと思っています。
【筆者プロフィール】
ナイスバッチ
プレーヤー・保護者・指導経験を活かし、柔道整復師・鍼灸師の視点から野球の疑問や改善点を発信。未来の野球を考えるナイスバッチです。
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