小中学生には複数ポジションを経験させよう

―未来の選手の可能性を広げるために―

こんにちは、ナイスバッチです。

今回は、小中学生の野球やソフトボールにおいて「複数ポジションの経験を積ませるべき」というテーマでお話しします。

実際に、自分の子どもの試合を見ていても感じましたが、小中学生の段階でポジションを1つに固定してしまうのは、選手としての可能性を狭めてしまうと感じています。さまざまなポジションを経験することが、選手としての幅を広げ、怪我の予防にもつながると考えています。

1. 複数ポジション経験で選手としての幅が広がる

高校に進学したあと、自分のメインポジションでレギュラー争いに負けてしまった場合、ほかのポジションを経験していなければチャンスを掴むのが難しくなります。

しかし、もしそれまでに複数のポジションを経験していれば、他のポジションでも勝負ができ、出場機会を得やすくなります。

2. 他ポジションの気持ちがわかる=プレーの質が上がる

例えば、

キャッチャーを経験した選手は、投手の心理を理解しやすくなります。その反対の投手を経験した選手は、キャッチャーの心理を理解しやすくなります。

内野と外野を経験したことがある選手は、内外野の連携プレーの重要性をより理解できます。

このように、様々なポジションを経験することは、自分のメインポジションの理解やプレーの精度にもつながります。

3. チーム力の底上げにもなる

チームとしても、複数のポジションを守れる選手が多いと、ケガや体調不良などのトラブルが起きても、柔軟に対応できるようになります。

選手が固定化されていないことで、戦術の幅も広がり、全体のチーム力が向上します。

4. 運動能力の向上にもつながる

近年では、「1つの競技だけでなく、さまざまなスポーツを経験した方が運動能力が高くなる」と言われています。

しかし、現実的に複数のスポーツをするのが難しい子どもも多いのが現状です。

だからこそ、1つの競技の中で多様な動きを経験できる「複数ポジションの経験」は、とても価値があると僕は思います。

ポジションごとに求められる動きが違うため、考える力が身についたり、運動能力の向上にも繋がります。

5. 肩・肘の負担を分散できる=ケガ予防にもつながる

肩が強い、コントロールが良い、野球センスがあるといった理由で、ピッチャー・キャッチャー・ショート・サードなどを掛け持ちさせられている子どもをよく見かけます。

ですが、こうした起用は一部の選手に過度な負担をかけてしまい、特に肩・肘の故障につながる可能性があります。

複数ポジションを全体で共有し合うことは、ケガの予防にもつながります。

特に小学校のソフトボールでは、「投球制限」がなく、1人のピッチャーが1日で何試合も投げ続けるケースもあります。

これでは成長期の身体にとって大きな負担です。ソフトでも野球と同じようにチームとして複数投手制を導入し、できるだけ多くの選手に投手を作り一部の選手への負担を軽減・分散した方がいいと思います。

6. 球数制限ルールにも対応できる

小・中学校の軟式・硬式野球では、「球数制限」のルールがあります。

それにより、1人の投手に頼り切ることが難しくなっています。

人数の少ないチームほど、複数の投手・複数のポジションを守れる選手が必要不可欠です。人数が多いチームでも同じでそれにより、より選手層が厚くなりチーム力が上がると思います。

この体制を早い段階から整えておくことで、チーム全体のチーム力が増してきます。

7. 高校での活躍を見据えて

小中学生の時に、特定の選手だけに過度な負担がかかると、その選手が高校に入る前に肘や肩を壊してしまう可能性があります。

そうなると、高校以降で本来発揮できたはずの力が出せなくなってしまいます。

僕は、小中学生の育成は「高校生でピークを迎えるため」に行うべきだと考えています。

小中学生での早すぎる体の消耗や精神的な燃え尽き、無理な選手起用は、未来の活躍を妨げます。

8. チームの理念として「複数ポジション経験」を掲げる価値

僕がもし子どもをチームに入れる立場だったら、「複数ポジションを経験させています」「中学高校を見据えた指導をしています」「高校生でピークで活躍できる育成を目指している」と明言しているチームに魅力を感じます。

小中学生の部活動やクラブチームで選手が集まらず悩んでいるチームこそ、「複数ポジションを経験させる指導方針」を打ち出すことが、ひとつの強みになるのではないでしょうか。

そして、この方針は長い目で見て、選手の高校以降の活躍にもつながります。

一つに「特化」するのではなく、多くのポジションの経験を積ませる「多様性」、選手としての「幅」。これが、小中学生世代ではすごく大事だと僕は考えます。

まとめ

・小中学生のうちは、複数ポジションを経験することで選手の幅が広がる

・ケガの予防、チーム力の底上げ、運動能力の向上にも効果的

・球数制限や一部の選手への負担軽減にも柔軟に対応できる体制を整えるべき

・チームの理念としても「複数ポジション経験」は魅力的

・高校での活躍を見据え、小中学生のうちは無理をさせすぎない育成が大切

・ポジションを絞って専門化させるのは、高校生になってからでいい

未来の野球を考えるナイスバッチとして、子どもたちが楽しく、そして長く野球を続けられるような環境作りの提案を、これからも発信していきたいと思います。

この記事が、現場の指導者やチーム方針を考える一助になれば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました