AEDは「チームに1台」が当たり前に ― 選手を守るためにスポーツ現場でできること ―

野球ケガ

スポーツ現場にAEDが必要な理由

スポーツの現場では、誰もが「まさか自分のチームでそんなことは起きない」と思っています。

しかし、AEDが必要になる瞬間は突然やってきます。

スポーツをしていると、ボールが胸に当たったり、接触プレーで胸を強く打つことがあります。

確率は低いと言われていますが、タイミングが悪く胸に当たってしまうと、AEDが必要になることがあります。

救急救命士の方に聞いたところによると、こうした状況でAEDがないと助かる確率は大きく下がってしまうそうです。

つまり、「その場にAEDがあるかどうか」が非常に重要になります。

息子のチームにはAEDがなかった

実際に、息子がソフトボールチームに所属していた頃、そのチームにはAEDがありませんでした。

さらに、試合会場にもAEDが設置されていない場所がいくつもありました。

全てを調べたわけではありませんが、「AEDがある会場の方が少ない」と感じたことをよく覚えています。

「胸で止めろ」という危険な指導

それに加えて、そのソフトボールチームでは**「ボールは必ず正面で止めろ」「胸で止めろ」「体に当ててでも止めろ」**といった指導が行われていました。

もちろん、正面で捕ることは基本的なプレーの一つです。

しかし、胸にボールが当たるリスクを考えると、危険な面もあります。

僕自身は緊迫した場面にでくわしたことはない

僕自身は、これまで実際にAEDが必要になるような緊迫した場面に出くわしたことはありません。

ですが、いつどこでそうした場面にいつ遭遇してもおかしくないと感じていました。

「もしその時、自分が適切に対応できるだろうか」と考えたとき、やはり知識や経験の必要性を強く感じました。

消防署で救命講習を受けに行った理由

そうした思いから、僕は消防署に**救命講習(AED講習)**を受けに行きました。

AEDの使い方だけでなく、倒れている人への初期対応の流れなども学ぶことができました。

実際のところ、もし本当にそういう緊迫した場面に遭遇したときに、

冷静に判断し、AEDを使えるかどうかというのは自信があるとは言えません。

けれども、「知っている」か「知らない」かで、行動の一歩目が大きく変わると思っています。

だからこそ、僕は講習を受けておくことが大切だと感じました。

一人でも多くの指導者や保護者がこうした講習を受けておくことが、

子どもたちを守ることにつながると信じています。

AEDを持参していたチームがあった

その後、息子が入った硬式野球チームでは、チームとしてAEDを持っていました。

試合や練習試合のたびに必ず持参していて、初めて見たときに僕は「これは本当に素晴らしいことだ」と感じました。

ただ、救急救命士の方からは「AEDも経年劣化することがある」と教えてもらいました。

バッテリーの期限が切れていて動かないケースや体に張り付けるパッドが劣化していることもあるため、“持っているだけ”ではなく、“定期的に点検できているか”が大切なんだそうです。

「体で止めろ」の指導は本当に必要?

いまだに「すべて正面で取れ」「体で止めろ」といった指導が行われているチームがあるように感じます。

しかし、胸にボールが当たる危険性を考えると、こうした指導は見直す時期に来ているのではないでしょうか。

グローブで捕る技術を磨くことが安全につながる

打球にもよりますが、必ずしも体や正面で止める必要はありません。

体に当てなくてもグローブでボールが取れるような練習を重ねれば、ケガのリスクを下げながら技術も向上します。

胸部にパッドを付けている子どももいますが、始めのうちは付けていても「動きづらいから外した」という子が多い印象です。

だからこそ、体ではなくグローブで捕る技術を高めることが、ケガの予防にも、プレーの上達にもつながると思います。

指導者にも救命の知識を

指導者の中には、選手がケガをしても「大丈夫か?」と声もかけず、無理に立たせる人もいます。

そうした場面では、「まずは安全を確保してほしい」「無理に動かさないでほしい」と思います。

だからこそ、指導者にも基本的な救命知識(AEDの使い方など)を持っていてほしいと思います。

子どもたちを守る立場として、「勝ち負け」よりもまず「選手を守る」ことを最優先にしてほしいです。

スポーツをやる上で、根底にはまずは「安全」があってその上に「プレー」が成り立つと思います。

AEDは「チームに1台」を当たり前に

スポーツの現場で選手を守るために、僕が強く感じていることはただ一つ。

「AEDはチームに1台」――これを当たり前にしてほしいです。

AEDがあれば、いざというときに救える場合があります。

そして、そのAEDが「使える状態」であること、そして「使える人」がそばにいること。

しかし、AEDは高価でチームとして準備できない場合もあります。

その場合は、AEDが練習場や試合会場のどこにあるかの確認をしておくことが重要です。

子どもたちが安全に、そして思いきりスポーツを楽しめるように、

指導者や保護者の一人ひとりが意識を持つ人が増えることで、いざという時の最悪な事態を防げると思います。

【筆者プロフィール】

ナイスバッチ

プレーヤー・保護者・指導経験を活かし、柔道整復師・鍼灸師の視点から野球の疑問や改善点を発信。未来の野球を考えるナイスバッチです。

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